これも恋と呼んでいいのか
「あっ、そうだ。配達先の幼稚園の希望で、新しく何冊か入れてほしいって注文あって頼んでるんで」
客注品もそうはない。仕事の早さに受注用紙を確かめ驚く琉ヶ嵜。
そう言った翌日、商品が届いた。クラスごとの入れ替えらしく30冊もあった。
「これください!!」
次の日曜、夕方。
小さな男の子と一緒に、業平と同年代の小柄だがぽっちゃりした女性が訪れた。
「カナっぺ」
「カナっぺ??」
琉ヶ嵜と靖美が接客に一区切りつき、カウンターで声を揃える。
「あっ、紹介します。彼女っす。その幼稚園の先生してて」
「河田可奈子です!お二人のお噂はかねがねお伺いしてます」
横に並んでお辞儀する。
目のクリクリした丸顔で、前髪パッツンの、お団子ヘア。笑顔のよく似合う可愛らしい雰囲気でいかにも幼稚園の先生らしい。
「可奈子だからカナっぺっす」
「って、いつの間に!?」
そんな相手がいたとは。気配は1ミリも感じなかった。やはり2人は鈍かった。
いないところで、どんな噂をしてるんだ、と不安になる琉ヶ嵜。
ゆきは家族サービスで、隔週で日曜休みでいない日だった。
「お子さん…??」