これも恋と呼んでいいのか
それからひと月もした頃のことだった。
「ここで雇って頂けないですか?」
突然の靖美からの申し入れに戸惑った琉ヶ嵜。
「えっ?仕事は…?」
「先月一杯で辞めました」
「はあ!?」
「というか、首になりました。家政婦してたんですけど、要領悪くて、お皿何枚も割ってしまったり」
よくそれで家政婦になろうと思ったなと、呆れるゆきと琉ヶ嵜。
ずいぶんあっけらかんとしている。
「い、一応、支店と言うことになってるから、本店に問い合わせてもらわないと、勝手には雇えないんだが」
「そうなんですか??じゃあ行ってみます!!どちらでしょう」
しかし一応、人手は足りているしな、と。
棚卸のときくらいは雇うこともあるが。
「助かった!!実はしばらく休まなきゃならなくて!!」
ゆきが手放しで喜んだ。
「はっ!?」
「三人め、なんです」
恥ずかしそうに。
「お前、な、なに言って…??」
自分にはひと言の相談もなく、と動揺を隠せない。
「私からも、本店の社長に紹介しとくから、頑張って!!」
「俺の権限は」
「そんなもの、最初からありません」
「ありがとうございます!!」
「え~っ?!」
勝手に話がまとまってしまった。