これも恋と呼んでいいのか
「ちなみに、ここもウチの持ち物件で出来立てなんで、宣伝材料に使わしてもらいますんで、ヨロシクっす!!」
「はああ!?」
「その分、超格安でさしてもらうんで口コミもヨロシクっす!!」
司会まで仕切り、ちゃっかりアピールする。商売上手だ。
少し先では、
「私らの見立ては間違ってなかった!!有り難う!!靖美さん!!貰ってくれて!!」
本店の人事担当も涙ぐむ。
面接した人物だ。あの時点で身内の策略が始まっていたのか!?と。
「こんな可愛いお嬢さんに、巽の店で働きたいと頼まれて、これを逃す手はないと思ったんだ!!」
「そんなこと、言ってくれたのか??」
恥ずかしそうに俯く靖美。
「それは言わないでくださいって言ったのに…」
「年貢の納め時だぞ!!巽!!」
社長と専務も抱き合って喜ぶ。
といっても身内なので父と叔父だ。
「…おいおい、俺をお荷物みたいに…」
「せっかく就職して親離れしたと安心したのに、出戻ったときはどうしたものかと思ったぞ!!」
「そんな風に思ってたのかよ…」
せっかく店を継いで親孝行しようと戻ったのに。
ふて腐れる琉ヶ嵜。