これも恋と呼んでいいのか
「今日は、彼女はもうお帰りですか?」
閉店作業が終わり、シャッターを降ろし掛けたとき、昼間の紳士が訪れた。
「えっと、どちら様…?」
「先ほど本をお願いしまして、追加で欲しくて。この店の電話番号を知らなくて、寄ってみたんですが」
「すみません。私は何も伺ってなくて」
連絡し忘れたな、と。
「ただ、あのメモも、人が書いたもので、なくすと困るんですが」
またやらかした!と、嫌な予感がした琉ヶ嵜。
「すぐ確認します。お待ちいただけますか?」
「ああ、いえ、もう帰りますので、こちらの連絡先だけとりあえず頂ければ」
「あっ、ではこれを」
店の住所と電話番号の彫られたスタンプをメモ用紙に押して渡す。
「有り難うございます。また来ます」