これも恋と呼んでいいのか
もうひとつの

連絡は、付かなかった。


その後も、9時頃まで携帯に掛けてみたが繋がらない。


「何してるんだ、…ったく」


風呂上がりの琉ヶ嵜が、缶ビール片手に、何度も掛けてみるが、何度掛けても電波が届かない。


店には自転車で通っている。少し離れたワンルームマンションで一人暮らしをしていた。


几帳面な琉ヶ嵜は、必要以上に物は持たず、家具も至ってシンプルだった。


食事や書き物、ノートパソコンを置くだけの小さなテーブルと椅子、数着入れば足りるクローゼット。


物があると落ち着かず、掃除もし辛い。


「そもそも、掛け持ちのバイトって何だよ…」


妙に気になる。妙に苛立つ。
なんだこのモヤモヤは。


「小娘だぞ…」



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