これも恋と呼んでいいのか
「ところで店長さん、たまにはご飯でもどうです??3人で」
日曜の昼過ぎ。
すべての版元も配送も休みで本が入らず、店頭での接客のみになる。
奥で返品作業をしている靖美に聞こえないように、店頭でハタキを掛けながら業平が。
「なんだいきなり」
「だって、まだ歓迎会してもらってないっすよ?お給料も出たことだし」
靖美に代わってよく役に立つ業平に、半分やっているようなものだった。
「まあ、またにはいいか…」
「やった!!言ってみるもんだ!!」
素直に喜ぶ業平。
「ほんとは、靖美を誘いたかったんじゃないんすか??」
と、耳打ちする。
「はあ!?何言ってんだ!そんなわけねえだろ」
「やっぱ、そうか。わかりやすいんすよね、店長さん。邪魔はしませんから、焼き肉がいいな。店長さんの奢りで」
こんな若い奴に分かりやすいと初めて言われ、少しムッとするが、業平は妙に嫌みがなかった。これも人徳か。
「じ、邪魔ってことは!…確かに、よく動いてもらってはいるからな」
「でしょでしょ??」
「……今日終わったら、行くか」
「やった!!靖美!!肉だ肉」