これも恋と呼んでいいのか
「今日、高速バスで帰ることにしましたので、一応ご挨拶に」
靖美の両親が訪ねてきたのは昼近くのことだった。
「あら?靖美、お休みですか?」
どうやら今日は仕事だと思い、部屋には行っていないらしい。こっちに来ていないことも耳に入っていないようだ。
「あっ、はい、まあ…」
琉ヶ嵜も業平も、なんともごまかしようがなかった。
配達に行こうと奥で作業をしている琉ヶ嵜。ふと、何かに気付いた業平が。
「店長さん、あれって…」
「えっ…?」
両親も振り向く。
言われて覗くと、怪しい動きをする男が、防犯用の凸版ミラーに映っていた。
辺りをキョロキョロと見渡し、大きめのリュックを下ろす。
「ここにいろ。一応、警察に連絡だ」
「あっ、はい…」
一瞬で緊張が走る。十中八九、万引きだ。
ミラー越しに見ていると、数冊の写真集らしい商品をリュックに入れた。
琉ヶ嵜が走る。
「お客さん、ちょっと」
ビクッとし、振り向くと、表に走り出した。
舌打ちすると、琉ヶ嵜も走る。
「待て!!」