これも恋と呼んでいいのか
犯人は…
豪華な邸宅に2人きり。
後ろ手にロープのようなもので縛られている感触があった。大きな木の椅子に座らされていた。
こんな屋敷に来たのは家政婦をしていたとき以来だ。何坪あるのだろう。
半地下らしく、昼間だというのに薄暗い。シャンデリアの灯りが眩しかった。
窓の外には手入れの行き届いた植え込みの茎の部分が、中からも外からも目隠しのように植えられていた。
家具も特注品らしく、欧米風の木製の古そうなテーブルやソファが綺麗に並べられていた。
「あなたは一体…??」
「瓜生、瓜生将基(ウリウマサキ)といいます」
「うりう、さん…」
「僕の奥さんになってください」
「えっと、それは…」
「残念ながら貴女に断る権利はないですよ。ここは僕に必要な業者の類以外、誰も知らない場所ですから」
「囚われの身、ということですか??私」
妙に嬉しそうだ。こんなところでも、やはり天然だった。
「お姫様みたい…」
「そうですよ。僕の、僕だけの、お姫様になってください」