これも恋と呼んでいいのか
「お姫様…」
瓜生が静かに近づくと、頬に触れ、キスをしようとした。
ふっ、と反射的に顔を背ける靖美。
「ご、ごめんなさい。私やっぱり…」
「好きな人がいる??」
ふっと離れると、
「知ってますよ。店長さんでしょう??」
「え"っ?!」
聞いたことのない声で驚き、耳まで赤くなる。
「だから、拐いたかったんです。あんな中間管理職のオジサマは、おやめなさい」
まじまじと目を見詰める瓜生。
「貴女のような可愛らしいお嬢さんが。勿体ない。僕のお姫様になれば何不自由ない生活が送れる」
「違いますってば!!」
「はい??」
「そんなんじゃないですってば!!店長さんは、店長さんは!!」
くくく、と笑うと、
「やはり勿体ない。ますます貴女が欲しくなってしまいました」
頬に触れ、そっと額にキスすると、静かに部屋を出ていく。
「また来ます」