これも恋と呼んでいいのか
「明日からこのお屋敷でお手伝いします!その代わり、店長さんのことだけは絶対!!誰にも言わないで下さいね!?」
顔の前で人差し指を立てる。彼女にとっては、それが一番困ることらしい。
「なんなんだよ…」
冷蔵庫にあった有り合わせの物で手際よく作った彼女の料理は、すごく美味しかった。見映えもよく彩りもいい。センスがあった。
「店長さんてばヒドいんですよ!?バカとかマヌケとかドジとか、意地悪ばっかり!!どう思います!?」
それを惚れてるっていうんだよ。のろけを聞かされるために拐ってきたのか僕は。
こんな可愛い女性にここまで慕われて。
と情けないやら悲しいやらで、思わず苦笑いが出た。
「何がおかしいんですか!?笑うところじゃないです!!」
ぷーっと子供のように膨れる靖美。
「店長さんが羨ましいよ…」
思わず呟く。
「そういえば、瓜生さんは、私とどこかでお会いしたことありましたっけ??」