これも恋と呼んでいいのか


「全百巻…すげえ売り上げじゃないっすか!?」


「一冊二千円として…20万!?」


「はあ!?っていうか、そんなことのために、のこのこ、知らない人間について…」


「彼女は、そういう子なんですよ」


「メモ駄目にしたのも、気にしてたんじゃないっすか??靖美なりに」


ふっ、と寂しそうに笑った瓜生。


「僕には兄弟もいなくて、親にも愛されなくて。嬉しかった。妹ができたみたいで」


「いもうと……」


瓜生の言葉にも拍子抜けする。
ストーカーの変態とばかり思っていたのだから。


「もちろん最初は、あわよくば結婚してもらおうと思って拐ってきましたけど」


ゆきに近付いて耳打ちする瓜生。


「やっぱり店長さんらしいですよ」


「な、なんだよ!?」


「内緒です」


ゆきもクスッと笑う。



< 57 / 113 >

この作品をシェア

pagetop