これも恋と呼んでいいのか
「全百巻…すげえ売り上げじゃないっすか!?」
「一冊二千円として…20万!?」
「はあ!?っていうか、そんなことのために、のこのこ、知らない人間について…」
「彼女は、そういう子なんですよ」
「メモ駄目にしたのも、気にしてたんじゃないっすか??靖美なりに」
ふっ、と寂しそうに笑った瓜生。
「僕には兄弟もいなくて、親にも愛されなくて。嬉しかった。妹ができたみたいで」
「いもうと……」
瓜生の言葉にも拍子抜けする。
ストーカーの変態とばかり思っていたのだから。
「もちろん最初は、あわよくば結婚してもらおうと思って拐ってきましたけど」
ゆきに近付いて耳打ちする瓜生。
「やっぱり店長さんらしいですよ」
「な、なんだよ!?」
「内緒です」
ゆきもクスッと笑う。