これも恋と呼んでいいのか


記憶が飛んだ。


琉ヶ嵜はビールか酎ハイ専門で、焼酎も日本酒もアウトだった。含むだけでもダメになっていた。


確かにアルコールの度数は、ビールの倍以上はある。


昔一度、呑めたからと、調子に乗ってビールの後に呑みチャンポンになった挙げ句、全部リバースし、体が受け付けなくなっていた。


それ以来、呑みに行っても焼酎と日本酒だけは頼まないし呑まない。


気がつくと、どこかの部屋で敷かれた布団で寝ていた。


「気持ち悪い……」


吐きそうになりながら、這うように部屋を出る。


「……最悪じゃねえか…」


長旅の疲れも祟ったのだろう。


嫌われたらどうしよう。
生まれて初めて本気で惚れた相手かもしれないというのに。


彼女の実家で緊張のあまり、まともに飲んでもいないのに、酔って潰れてヘマをやらかしたら目も当てられない。


トイレらしい場所を探し、ドアを開けるや、崩れた。



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