これも恋と呼んでいいのか
「……お、お早う…ございます…」
薄手のシャツとデニムに着替え、髪を梳かすと髭を剃って顔を洗い、食卓に向かう。
「あら、お早うございます!!よう寝れましたか??」
台所で味噌汁をよそいながら割烹着姿の母が。昔ながらの台所。和室の食卓。
母はいつも通り元気だ。父は新聞で顔が隠れて見えない。恐ろしい。
業平はすっかり溶け込み、息子のようにガツガツ白米を掻き込み、母に茶碗を出す。
「お代わり!!」
「…おいおい」
「あっ、ちっす!!飯、美味いっすよマジで!!」
「朝からよう食べるけん、気持ちええなあ、作り甲斐あるわ」
やはり四国弁が柔らかい。
食卓には白米と焼き魚、味噌汁と漬け物と、至ってシンプルな朝食が用意されていた。
「すみません、いろいろご迷惑ばかりで」
「何言うてるんですか!!ええけん早よ食べてくださいな」
涙が出そうになり鼻をすする。いいお母さんだ。
「…久我は…いや、靖美さんは」
「もう済ませて、出掛けましたよ」
「えっ?どこに」