これも恋と呼んでいいのか
「ナリくんにです。キスはされましたけど」
ハッとし、口を押さえ頭を掻く。
「えっ?えっ??ええっ?!だって、じゃあさっきの、業務連絡みたいなのは」
「朝は弱いので。いつも通りの、私の朝の挨拶ですが」
けろっとした顔で靖美。
紛らわしい。
耳まで赤くなる琉ヶ嵜。
「やられた!!」
わしわしと頭を掻き、顔をぐしゃぐしゃっと擦る。
「あああ!!もういい!!こうなったら今言ってやる!!俺の傍にいろ!!もうどこにも行くな!!」
「それって…」
「結婚してください、ってことだ!!」
「ちょっと待ってください」
「はっ!?」
「どうせなら、あっちの海でお願いします」
「もう一回言うのかよ…」
が、
松林を抜け、小さな階段を上がった先の、目の前に広がった景色に圧倒される。
180度パノラマの、雲ひとつない青い空。
地球が丸かったことを改めて思い出さされる水平線、紺碧の海。
壮大な見事な砂浜。
眩しく照りつける太陽。
それらが、
昔からそこにあるのだよ。と言っているかのように、ひとつの映像として、これでもかと飛び込んでくる。
「……すげえ…」
それしか言えず、この年で青臭いと思いながら、無性に叫びたくなった琉ヶ嵜。
「俺の傍にいろ!!結婚してくれ!!」
海に向かって叫んでいた。
「…本当に、いいんですか??後悔しません??」
「しねえよ!!」
そう言った顔の前で、シャッターが切られた。
「証拠写真です」