これも恋と呼んでいいのか
「これも、これも。全部、靖美の撮った写真です」
引き伸ばされ、写真が貼られたアルバムが大量に出された。昔からの分厚いもので10冊はあった。
「こんなにか…」
さすがに驚く琉ヶ嵜。しかも素人目に見ても、なかなかのセンスを感じるものばかりだ。
風景、人物。子供から大人まで笑顔や泣き顔。夕暮れどきの海辺で黄昏る人。祭り。
改めて人柄を見たようで、じんわりする。自慢げに見せたくなるのがよくわかる。
「…あれ…?」
知らないうちに涙が出ていた。この写真にはそんな不思議な魅力があった。
「一昨年亡くなった、お爺ちゃんの形見の一眼レフを大事に使うてまして。昔から写真撮るのが好きでねえ」
そんな趣味があったとは。まだまだ知らないことばかりだ。
「店長さん…えっと」
「琉ヶ嵜さんっす」
本屋に来てからしばらく経つ。名前をちゃんと言っていなかった。
「琉ヶ嵜さん、娘を、よろしくお願いします」
きちんと挨拶をするタイミングをすっかりなくしていた。
「ああっ!!いえ!こちらこそ!!っていうか、あの、や、靖美さんは」
そういえばまた席を外していた。
「あの、改めて、こちらにいるうちに、ちゃんとお話させてください」