これも恋と呼んでいいのか
「あの、改めてご挨拶を」
座敷で正座する琉ヶ嵜と靖美。
「うちの田舎ではな、結納品として猪を献上するというしきたりがあってやな」
出任せに呆れる母娘。
「いのしし…」
「許可が下りれば、牡丹鍋にして婿も食べていいというもんや」
「はあ……えっと、やってきて、いいんですか??」
「えっ!?」
言い出しておいて父が一番驚く。もちろん全員が驚いた。
「山の持ち主とかに許可が得られてて、道具もあれば、やってみますけど。あっ、猟銃の資格持ってる人いますよね!?」
やたら詳しい。
「できるんすか!?俺は手伝いとか無理っすよ!?」
業平も慌てる。
「いや、なんか、中学くらいの頃、親戚の家でやった記憶が。出来るかも」
「お父さん!!」
「や、やってみろ!!ただし何があっても知らんぞ!?」
さすがの父も、珍しく動揺している。まさか出来ると言い出すとは思わなかった。
意外なところで強かった。