これも恋と呼んでいいのか
軽く扱い方を指導され、完璧にマスターした琉ヶ嵜。
試し射ちも完璧だった。
「素質あるなあ、うちに来えへんか??」
目を輝かせ、跡取りとして誘い始める森。
普段から、返品などで重い本の段ボール箱を持っているだけあって、腕力はあった。
父は面白くない。いっそ猪といわず熊にでも襲われてくれんだろうかと、内心期待したが。
「あっ、いた!」
小一時間もうろついていると、餌を求めて出てきた一頭の猪が、木の間から見えた。
反応が早かった。
パン!!と
銃声が山に響く。
弾も勿体ないので、無駄うちは避けたかった。計算ずくの一発だった。
「やったで!!すごいなあ!!」
急所を一撃で仕留め、森も感動していた。
「久我にやるの勿体ない!!うちに来てくれんか!?」
「いや、それは…」
言って、
「牡丹鍋、頂けますか??」
「うん?何の話だ??」
不思議そうな森に話すと、
「そんなの、嘘やんか!!やっぱりお前さん、やりよったな」
うぬぬ、と父。
証人としても森に知られた以上、認めざるを得なくなってしまった。