これも恋と呼んでいいのか
それから数ヶ月は靖美のファンのじっとりとした睨み妬みが続いた。
こいつが、こいつが、こんなオヤジが、靖美ちゃんと。靖美ちゃんと付き合ってるだと!?という空気がモヤモヤと。
「大学辞めて、永久就職することにしました。こっちの方が稼げるし、やり甲斐あって楽しいし。また、ヨロシクっす!!」
「はあ!?なんでここに!?っていうか永久就職の意味わかってるか??」
「モチっす!!」
店も忙しくなり、知らないうちに本店に面接に行って正式に雇われ、戻ってきた業平。
――そんなある日。
「なんじゃこりゃあ!!??」
入荷した写真雑誌の表紙に、琉ヶ嵜の顔写真があった。季刊紙で、年4回発行される増刊号だった。
素人のコンクールの受賞者の作品が纏められ、一冊の本になったものだ。
優秀作品として、表紙を飾っていた。気付いた靖美が、
「あっ、忘れてました。受賞してたんです。それ」
「…おいおい……」
恥ずかしい!!とんでもなく恥ずかしいじゃねえか!!
てっきり地方の展覧会か何かに応募したものだとばかり思っていた琉ヶ嵜。
ご丁寧に、小さいとはいえ、POPまで付いている。