これも恋と呼んでいいのか
だからといって、もう戻れない。琉ヶ嵜には、知らずに別れたかもしれない彼女も子供もいる。
それでも傍にいたいなんて言えない。言ってはいけない。
知らなかったとはいえ、絶対、立ち入ってはいけない。壊してはいけない。壊したくない。
結婚できないと、したくないと言ったのは私なんだから。
傷つくのは私だけで充分だ。
諦めよう。
諦めよう。
諦めよう。忘れなくては。
だからといって、亮ちゃんを代わりになんてできない。
私はどうすれば。
言い聞かせようとすればするほど、張り裂けそうになる。
いつの間に私は、こんなに琉ヶ嵜さんを好きになっていたのかな…。
「あれ……??」
頬を涙が伝っていた。
「…靖美……」
ただ、阿智は抱き締めてくれていた。