これも恋と呼んでいいのか
「いらっしゃいませ」
言って振り向いた靖美が、ゆきの姿を見てレジの下に隠れた。
少し目が赤かった。
「見えてますよ」
ゆきに言われ、しぶしぶ立ち上がる。
「ちょっと借りていいですか?知り合いなので」
珍しく真面目なトーンでゆきが傍にいた店長らしい男に声を掛ける。
「5分で終わります」
「…ああ、大丈夫ですよ。混んだら呼びますから」
妙な気迫にたじろぐ。
「おいで」
カウンターから出た靖美の腕を掴むと、表に連れていく。
やはり琉ヶ嵜もいた。
「……何ですか?わざわざお別れ言いに来たんですか?」
そっぽを向いて、棘を刺す靖美。精一杯の強がりだった。