永遠dream

③~悲しい嘘~

 「…………そういうわけじゃないけど……。」

少し言いあって、萌々が口ごもった。

もし俺が人間なら、きっともうとっくに思いを伝えていただろう。

だが俺はヴァンパイアだ。

それでいて、いったい誰がこの思いを簡単に口に出せただろう。

最初は気づかないふりをしていた。

気づいてからは必死で押し殺していた。

けれど、ふとみせる彼女の笑顔に何度心が揺らいだだろう。

何度、思いを伝えて抱きしめたいと、そう思っただろう。

昔……まだ2つの人種が共に生活を贈っていたときでさえ、人種を超えた恋は難しかったことなのだ。

2つの人種が対立している今、これは難しいどころの問題じゃない。

バレたら命を落とすかもしれない、そんな危険な想いなのだ。

俺が、俺の手で萌々を傷つけることになるのだ。

だが、もう我慢の限界だ。

恋しくて……恋しくて…………

目の前の君に手が届かないこの状況が歯がゆくてたまらない。

「萌々……」

俺は萌々の名前を呼ぶと、そっと唇を重ねた。

萌々、ごめん……ごめん……本当にごめん…………

何度だって謝るから、お願いだ。

「…………好きだよ。」

この思いを許してくれ。
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