永遠dream
  その昔、力を手にした人間にヴァンパイアは追われるようになった。

追われる理由がわからないままひたすらに逃げ続ける俺達ヴァンパイアは光の中にいては狙われやすくなる、という考えから人間の手を逃れるために光を嫌った。

やがて、太陽のもとに顔を出さなくなった俺たちの中の“黒”は“銀”に変わった。

この髪も……瞳も…………。

それからは何度も思ったな。

どうして……何のために……闇の中を生きるのか、と。

それでも、闇に縛られた俺達は抜け出すことができない。

 「まぁ……一種の呪いのようなものさ。」

そう言って俺は唇を噛んだ。

  自分だけが話していることに気づいて、慌てて萌々ちゃんを見る。

萌々ちゃんは予想以上に俺の話をしっかり聞いてくれていた。

その証拠に、とても辛そうな……悲しそうな顔をしていた。

…………君は馬鹿だね。

いちいちそんなに真剣に話を聞いていたら疲れるだけじゃないか。

けれど俺は、それが嬉しくてたまらなかった。

「萌々ちゃん、元気だしてよ。」

不思議な子だな。

この子は、強さと弱さの両方を持ち合わせてる。

それに知り合ったばかりの他人に……しかも人間に、こんなに自分の感情を込めて話すのは初めてだ。


君なら……世界を変えられるかもしれない。

そう、心で呟いた。
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