永遠dream
第11章

①〜世界の支配者〜

  そうしている間にも話は進められていく。

次はヴァンパイア側の問題提起だ。

1人のヴァンパイアが立ち上がると凛とした声で話し出した。

「近年、私たちの住みにくい環境が増えています。そしてその原因は人間方による都市化にあると思います。近年はヴァンパイアの頭数も増え生活できる場所も減少した為、縄張り争いが絶えません。どうかもう少し、住みやすい場所を提供願います。」

ヴァンパイア側の方が話し終わると空間は再び静寂に包まれる。
人間側はひたすらに冷めた目線を送り続ける。

私にはヴァンパイア代表の彼女が孤立しているように見えた。


  静寂を破ったのは義明さんの声だった。

「だが、この都市化にはドリンク工場も含まれている。血液ドリンクがないと困るのは、仲間を失うのはお前達の方だぞ。私はそれでも構わないのだが・・・?」

(・・・・・・チッ)

ヴァンパイア側から舌打ちが聞こえた。
会場は少しざわめき、その様子を義明さんは面白そうに眺めていた。
そこからは本格的な討論が始まる。

「だが、都市化の殆どは人間達の利益の為のものです!!」

「その人間達の研究のおかげであのドリンクが生み出されたんだろうが!!」

「そうだ!誰のおかげでお前らは今ここにいられるんだ!」

「俺らだってお前ら人間達のために従ってんだよ。この協定を崩すことは簡単だ!」

「あーぁ。これだからヴァンパイア様は。なんて短気な。」

「な・・・・・・っ!」

――と、ここまできて鐘を叩く音がした。

「静粛に。」

この無駄としか思えない口論をとめたのは義明さんだった。

しかしほっとしたのもつかの間、彼はありえない提案をしたのだ。

「これ以上は話し合おうとも平行線で終わるでしょう。問題は暗い場所を増やすため都市化を抑えるか否か・・・・・・。どうでしょう。ここは多数決で決めませんか?」

そこから先の光景を私は忘れない。

人間の醜さが・・・穢れが、そこにあった。

見ているだけの私の心も穢れが伝染ったように暗く沈む。


結局、話は人間の有利な方向に進められて今年のサミットは終わった。
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