永遠dream
しばらくして、急に雨は何かに遮られた。

不思議に思って見上げると見知った影が見える。

随分歳をとった。
けれど、それでもわかる。

「萌人・・・・・・」

そう。
そこにいたのは萌々の今の父である萌人だった。

かつて私が愛した・・・いや、きっとずっと心に住み着いていた人。

決して会ってはいけない人。

「奈々・・・・・・。」

彼は優しくそう囁いた。

「萌人・・・濡れてしまうわ・・・。」

私に傘を差し出したせいで萌人から雫が零れる。

そんな彼を急いでバス停の中に入れた。

そこでやっと私はバス停の椅子に腰をおろす。

「ごめんね。声かけないほうがいいかと思ったんだけど・・・放っておけなかった。」

「うん・・・・・・」

昔と変わらない萌人の優しさに触れて、気が抜ける。

目の奥に熱いものを感じて急いで抑えようとしたが、もう遅かった。

今まで流したこともないような大粒の涙が頬を伝った。

「・・・・・・っ!」

必死に止めようとしてもそれはひどくなるばかり。

すると萌人は、少し困った顔をしてとても優しく、私を包んだ。


私は萌人の腕の中で子供のように泣いた。
< 172 / 200 >

この作品をシェア

pagetop