永遠dream

②~怪しい視線~

「一昨日の事、覚えてる?」

女の子が透明な声で聞いてきた。

「…………覚えてる。」

「じゃあ、この傷はなにかわかる?」

さぁ、なんて答えようか。

わかると言った方がいいのか、わからないふりをした方がいいのか。

この人たちは……知ってる。
だから、こんな質問をするのだろう。
適当な理由を作れば、すぐに嘘だと見抜かれる。

慎重に、慎重に……

でも、記憶がないなんて言いたくない。

だって、彼が悲しむ嘘はつきたくないから。
もう、彼が寂しい目をしないように。

このふたりはどこまで知ってる?
なんでわざわざ呼び出した?
ヴァンパイアとはどんな関わりがある?

……あなた達は…………

「あなた達は誰ですか……?」

私は疑問を投げかけた。

「そうね……ごめんなさい。自己紹介がまだだったわね。私は夕月 可憐。この学校の生徒会長よ。この学校は生徒会活動が少ないからあまり知られていないわ。」

私はこの時初めて生徒会があったことを知った。

でも、それだけじゃないんでしょ?

今の話は私をここに呼び出した事とは繋がらない。

あなた達は……誰?

私が不審な目で見ていると、それに気づいた女の子がため息混じりに口を開いた。

「そうね……。私達はある組織に入っているの。その中でも私は“Original”と呼ばれていて、ある者との戦いの為だけに生まれてきた人間。でも、ある者の存在は口外してはいけない決まりなの。」

そして隣の男の子もそれに続けた。

「今日あんたが教室に入ってきた時に俺らは気づいた。その傷口が塞がるまで消えることのない、人の形をした獣のにおいに。」

『ある者』の予想はついた。
けれどもそんなにすぐには信じられない。
でも、彼らは落ち着きながらも必死だった。
だから嘘をついてるとは思えなかった。

「…………あなた達が思っている通りだと思います。」

私はうつむきながらそう答えた。

「誰に?」

女の子が真っ直ぐ私の目を見て言った。

「………………」

「ちゃんと答えて。」

「………………」

「質問に答えなさい!」

女の子の声が部屋に響く。
見つめられると悪寒がする。
それでも私は口を開く気はなかった。

彼の名前を出したら、彼はどうなるの?

…………わからない。
どうなるかなんて。
だったら言えない。
言えるわけがない。

私はまだ、彼と一緒にいたい……!
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