永遠dream

③~外れた視線~

夕月さんが目をそらした。

 「徹、後よろしく。」

そう言うと、こちらにその華奢な背中を見せて、この部屋を去っていった。

え、なに?
“後”ってなに?
もしかして拘束とかされちゃうの?

 「…………おい。」

そういった彼の声は、さっきよりも荒々しく感じた。

 「可憐がすまなかった。」

下を向いていて表情はわからなかったがその気持ちは伝わってきた。

「うん、平気よこのくらい。」

だから私は少しだけ見栄を張った。
いいんだよ、大丈夫だよの気持ちを込めて。

だって私はこの人に危害を加えられたわけじゃないもんね。
 「ありがとう。」

彼は、全てを悟っていたように思う。
それで、ありがとうと言ってくれた。
もしかしたら、怖い人じゃないのかもしれない。

 「もう遅いだろ。送ってくよ。」

……え?

「帰ってもいいの? 」

予想外の言葉に私は思わず聞き返した。

「あぁ、これもルールだからな。」

ルール。
今は、その言葉に安心感を覚える。
そして同時に彼の優しさも伝わる。

この人は、必死に言葉を選んでるんだ。

「そうなんだ。でも、送ってもらわなくて平気! 家、ここから近いから。」

彼は少し驚いた後、そうか……と呟いた。
心配そうな眼差しが心に刺さる。

でも……送ってもらってはいけない。
決してバレてはいけない。

たとえ、こんなに心配されていても………
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