永遠dream

④~知らない正体~

  ガチャ――

ドアが開き、萌々が出てくる。

俺の思考は一旦停止する。

……萌々と目が合わない。

 「…………どうしたの?」

少し震えた声で萌々が言った。
どうやら本人はまともに言ったつもりらしい。

「…………昨日の。」

俺はとりあえず話題をふった。
萌々は驚いたあと、さっきとは別の焦りを見せた。

…………忘れてた?

こういうことを萌々が忘れるのは初めてだ。

特に、自分のことなんかは……

萌々なら、昨日のことを悔やんで謝りに来るはずだと踏んでいた。

なのに…………

これは、いつもの萌々からは考えられない行動だった。
ふと、頭の中に考えがよぎる。

“いつも”と違うことが起きたんじゃないか?

さっきの2人は、萌々に会いに来たんじゃないか?

 「昨日はごめんなさい!」

その声にはっと我に返る。
萌々は深く頭を下げている。

俺はしばらくその姿を見つめていた。

そして、低めのトーンで言葉を吐いた。

「…………許さねぇ。」

萌々の体はビクッと震えた。
彼女がだんだんとうなだれていく。

フッ―――

その様子に俺は思わず吹き出した。

「嘘だよ。」

俺の声にそっと顔をあげる萌々と視線がぶつかった。

すると彼女は少し表情を曇らせた。

あ、バレたな、俺の目の色。

俺は萌々を部屋へと促した。

萌々の後ろ姿に、俺は心の中で謝った。


意地悪しちゃってごめんな?
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