永遠dream

④~偽りの平和~

男の牙が私の首からそっと離れた。

私は足に力を込めることが出来ず、その場にしゃがみこむ。

意識が朦朧としている。

「珍しい。これだけ吸ったら普通は意識が飛ぶのに。」

何平然としてるのよ。

血が足りない。

体がうまく動かない。

でも、逃げなきゃ。

早く、ここから。

私はやっとの思いで立ち上がると、玄関のドアに手をかけた。

「ちょっと待って。君をこのまま帰すわけには行かないな。」

「あなたは、何・・・・・・?」

私は震える声で尋ねた。

「まぁ、今日はもう血を吸わないから上がって。君にはちゃんと話すよ。」

“今日は”って・・・・・・

確かに怖いけどなんかこの人嘘はついてない気がする。

頭の中もぐちゃぐちゃだし・・・・・・

「・・・・・・・・・おじゃまします。」

私はそう言って靴を脱いだ。

その様子を見届けると男は微かに微笑んだ。


男は私に紅茶を出してくれた。

紅いお茶、赫い・・・・・・

結局、私はそのお茶を飲むことが出来なかった。
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