クリスマスプレゼントは王子さま
あ~もう疲れる! とアベルさんは癖っ毛の頭をぐしゃぐしゃにしてビシッとレン王子を指差した。
「いいか? 自分の言葉できちんと説明するんだ。それができなきゃ彼女達は別のホテルに移して護衛も付けるけど、もうおまえに会わせない。以上! じゃあ、僕は子ども達に癒されてくるから。これ以上相手をしてたらストレスではげるもんね」
「あ……あの」
いろいろと訊きたいことはあったのに。じゃあね、とアベルさんは無情にも部屋のドアを閉めた。
「…………」
ロイヤルスイートルームの2つのベッドルームに挟まれたダイニングとリビングルーム。その内のリビングルームで、再び二人きりになった今は気まずい思いで立ち尽くすしかない。
大見得を切って出ようとしたのに、また戻ってきてるなんて。情けないし恥ずかしい。
だけど、と俯いた顔を思いっきり上げてレン王子を見る。
危険性がある、とレン王子は言った。火事は自分が関わったからだと。ホテルから弟達を出すなと。
「あの……どういうことですか? 私たちに危険性があるって」
「……オレが王子だからだ」
「そんなの! 知らずに関わったんですから無関係です。だから……」
「無駄だ」
レン王子はきっぱりと、非情な宣告をした。
「アパートを燃やしたのはあくまでも警告に過ぎない。ああなった以上、あんた達はオレに深く関わったと思われたということだ。最悪命の危険さえあると認識しろ」