クリスマスプレゼントは王子さま
どれだけ大変なのでしょうか
「本日はレン王子とご一緒に行動してください」
「え?」
レン王子の偽の恋人になって3日目。
朝一番に侍従長のアベルさんからそう言われた。
(……って急に言われましても。本当は今日から仕事に行きたかったのに)
火事でアパートが焼け落ちたことは既に勤務先に連絡してある。奥さまの幸子さんが
“まぁ、気の毒に。大した金額ではないけれどお見舞い金を出すから。それから落ち着くまで有給消化で休みなさい。あなたずっとたまってるから”
と言ってくれたけれど。働かないのにお金をいただく罪悪感があって、出勤するしないと押し問答があって。それを聞きつけたアベルさんが電話の受話器を奪い、さっさと一週間の有給を決めてしまっていた。
27日になれば仕事納めでそのまま正月休みに入るから、その分しっかり休めるとの理由で。
(そりゃあ……早いうちに新しいアパートを決めたい気持ちはあったからお休みはありがたいけど)
昨日はデート(もどき)したのだから、さすがに今日は自由時間があるだろうなと考えて、みんなで外出して部屋決めと買い物をしようと考えてたのだけど。
部屋から出た途端にアベルさんがにこやかに今日の予定を立て板に水で告げてきて。頭に入りきらないうちに、彼は「では、よろしくね」とさっさと立ち去っていきましたよ。
分単位のスケジュールなんて。 私の少ない記憶容量で覚えられるわけないですよ!