クリスマスプレゼントは王子さま
「え、姉ちゃん今日もお仕事なの?」
朝食の席で翼が不安そうにこちらを見てる。
「うん、ごめんね」
あんまり嘘はつきたくないけど、まさかここに泊まる代償に王子の偽の恋人役を演じる……なんて。とてもじゃないけど話せない。だから、仕事だと誤魔化すしかなかった。
「ええと……夕方6時過ぎには帰って来れると思うから。ご飯は一緒に食べようね。あ、そういえば学校は?」
「今日は祝日だから今日から冬休みだよ」
「そっか」
昨日が終業式で今日から冬休みなら、学校に行かせなくて済む。あんまり実感は湧かないけど、昨日私の護衛についてくれた間宮さんから気になる話を聞いた。
“今回の事件は偶然とは思えません。レン王子殿下とあなた様を狙った……というよりもいろいろと試しただけの可能性が高いです。どうか十分にお気をつけてください”――と。
強盗犯達はどうやら金に困った連中が雇われただけのようで、その辺りのごろつきを破格の金額で集めただけ。接触した人間の手掛かりはほとんど無くて、捜査は困難だろうということだった。
“まだ表立ってあなた様が狙われることはありませんでしょうが。レン王子が動いたことで相手のターゲットリストにあなた様が加わった可能性があります。身近な方々にも十分にご注意を”
(そんな……まさかだよね。単なる平民の小学生を狙うって。意味がわからない)
だけど、警告する時の間宮さんの真剣な眼差しが頭に焼きついて離れなかった。