その手に錠をはめるまで
「“何もしていない”からこそ、危ない。
ただ存在しているだけなはずがないのに、何もしていないんだ。
もしかしたら何かをする機会を伺っているのかもしれない」
そう言った昴の顔は険しすぎて、何かそれだけではないような予感はしてくる。
もしかしたら昴はRがそこにいると勘付いているのではないか。
「そ、ならあたしは大人しく見張っとく。
どうせ萌恵奈には最初から言ってあるんでしょ」
分かっているんだからというように、あたしは昴を恨めし気に見つめる。
「うっ、だって響姫に言ったら断られると思ってたし・・・・・・、なあ?」
断られそうならやめとけよと思ったけど、仕方なく黙っておいてあげた。