その手に錠をはめるまで


じゃあ、と呟いて出ようとしたけど、前の時みたいに昴がそれを阻む。



「何?」



面倒くさいことは嫌いなんだから、手短に済ませてよね。



「Rの件なんだけど、な」



どこか言いよどんでいる昴を、あたしは眉間にしわを寄せて聞く。


険しくなったあたしの顔を見たのか、昴は覚悟を決めて話し出す。



「Rと呼ばれるようになった由来はR自身の本名の頭文字がRだからだそうだ」



それだけか、とは思わない。


だって、すごく近づけた。



「どうしてその情報が入ったの」



震える声で昴に聞く。



「ずっと前から本部の中の情報部に頼んでいて、それで分かったのが今日だった」



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