その手に錠をはめるまで

錠5




「あんたたち、こんなところで何をやっているんだ」



鋭く人を射抜きそうな声で路地裏にいた数人の男たちに問いかける漆黒の髪をした綺麗な男。



「何って、見て分からないのかなぁ~、お兄ちゃん?」



「兄ちゃんも混ざりてぇんだろぉ?」



1人が声を上げると続け様にまた1人また1人と言いたい放題言う。


そんな男たちに悲しげな視線を向けたその男は、辛そうに顔を背ける。



「あんたたち、変わったな」



変わったとはどういうことだ



少なからずこの場にいた男の中の数人は、その漆黒の男の言葉に疑問を持つ。



「・・・・・・俺たちを昔から知っているのか?」



「ああ、ずっと見てきたからな」



何を見てきたというのだ、この男は。


男たちは少し恐怖にも似た目でその男を見つめる。



「あんたたち、昔は正統派の族に入っていただろう?


どんなことがあっても付き合っていない女には手を出さない、違うか?」



漆黒の男はすでに気絶をした服のはだけた女を見やる。



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