その手に錠をはめるまで



「っ、どうしてそれを知っているんだ!!」



その問いに対して、男は答える。



「見てきたから」



よどみのないその言葉に、男たちの数名はうっと言葉を詰まらせる。



「誰に、唆されたんだ?」



漆黒の男は自らがやるはずがないと分かっている。



「っ、あの人です・・・・・・」



漆黒の男を認めてきたのか、男たちは敬語を使う。



「おい!


言ったら殺されるってっっ」



それでも、脅されているのか中々吐いてはくれない。



「大丈夫だ、安心して言ってくれないか?」



漆黒の男が言うと、言う言わないでもめていた男たちが言うことを決意し、口を開く。



「俺たちはRにっ、Rに言われましたっ」



吐き捨てるように言った男を、漆黒の男は優しげな表情で見る。



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