その手に錠をはめるまで


でも、こんなに傍にいるとやっぱり分かっちゃう。


雨が今どんな顔をしているのかだって、どんなことを言えば喜ぶかだって。


前とは違ったものを作ろうと、キッチンに立って悩むあたし。



「何か食べたいもの、ある?」



仕方ないから聞くことにして、雨が言ったものにしようと画策する。



「ふっ、そうだな・・・・・・。


オムライスがいい」



なぜか上機嫌な雨は、少し悩んだ後子供っぽい注文をする。


しかも朝なのに、よくそんなものが食べれるよね。



「ありがと、決めきれなかったからちょうどよかった」



とりあえず、お礼。


玉ねぎや人参をみじん切りにしたりなんだりで、どっと疲労感が募る。


涙目になるのは仕方がないこと。


・・・・・・玉ねぎ、しばらく冷蔵庫に入れておいたはずなのにな。


しばらくして、オムライスが完成する。


もちろん、オムライスだけだったら栄養の偏りが大きすぎるから、サラダをいっぱい作っておいた。



「できたから、食べる?」



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