その手に錠をはめるまで


席に着いたあたしたちは、お互いにいただきますと言う。



「で、今度はどんな情報?」



いつもの様な返しで、雨に問う。



「そう急かさない。


情報といってもRのことと親密な関係があるわけじゃない、それでもいいか?」



Rのことではないことに残念な気持ちになりながらも、あたしはうなずく。


どうせ雨のことだから、重要な情報なんだろうし、あたしのような人間を出さないようにするためにも、その情報はきっと大事だ。



「大まかに言えば、最近Rと名乗って多くの人に犯罪をさせようとしている者がいる」



「・・・・・・Rと関係大ありじゃん。


雨、Rがどんな奴だったか忘れたの?


部下だった奴らに、殺しをさせるんだよ?


それくらいしても当然じゃない。


Rと名乗る人じゃなくて、それはRだよ。


R以外に、そんなことをやれる人がいるはずがない」



あたしが断言しても、雨は困ったような泣きそうな顔でただ笑うだけ。


なんでそんな顔をするの、どうしてそんなに辛そうなの。



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