その手に錠をはめるまで


強い覚悟に、あたしもうなずく。


あたしも雨と同じ気持ちだ。


たいていは雨が抱く感情があたしの感情で、あたしが抱く感情も雨の感情だ。



「じゃあ、巡回をもっと強力にする。


それと、一応昴たちにも頼んでみようかな・・・・・・」



あたしが呟いた言葉に、雨は一瞬驚いた顔をして、それから穏やかに微笑んだ。



「ああ、俺も知り合いに少し頼んでおくか」



そう言った雨に、あたしは心底驚く。


え、だって、あの雨に知り合い??


つまり、仲間ってことでしょ?


え、雨に?


ホントにあの雨?


怪訝そうな顔で見ていたのがバレて、雨がぶすっとすねた顔をする。


何、その顔は。


それでさえも絵になっているんだからムカつく。


雨って性格はあれでも、なんだかんだ言ってかっこいいんだよね。


というか、美しいっていう感じ。


女のあたしたちでさえも羨む美貌の持ち主だ。


雨なんぞにはもったいないくらいの、ね。



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