その手に錠をはめるまで



「ん、今なんて言った??」



聞こえていないようで、安心する。



「さあ?


気のせいじゃない?」



あくまで白を切るあたしに、雨は不満そうな顔をするけど、それでも深いところまで追及はしてこない。



「ほら、今日はもう行きなよ」



そう言って送り出そうとするも、なぜか雨は止まったまま。



「そういえば、学校に最近行き始めたんだろ?」



うわー、この人の情報網ってやっぱりおかしい。


そう思いながらも、うなずく。


まあ、ハッキングしたら一発だよね。


というか、あたしの情報を管理してくれているの、全部雨だし。


知っていても当然か。



「・・・・・・知り合いから聞いた」



なんか雨のお仲間さんが、すごいらしい。



「そ、っか」



引きつっていた顔は見なかったことにしてほしい。



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