その手に錠をはめるまで



毎度のことながら急かされたあたしは、ゆっくりと扉を開ける。



「あれ?


さっきまで誰かここに来てたの?」



萌恵奈が突然驚いたような声を上げた。



「んー、どうしてそう思うの」



肯定とも否定とも取れないように返事は濁して呟く。


階段を下りる音が少し響く。


階段の昇降は素早くする。


これは鉄則。



「どうしてって、そんなの・・・・・・」



リビングの扉を開けると大きなテーブルにはお皿が2枚。



「「・・・・・・」」



雨とすれ違いで萌恵奈が来てしまったから、これは仕方のないことだったんだ。


そう納得して無言で片づけた。



< 126 / 169 >

この作品をシェア

pagetop