その手に錠をはめるまで
毎度のことながら急かされたあたしは、ゆっくりと扉を開ける。
「あれ?
さっきまで誰かここに来てたの?」
萌恵奈が突然驚いたような声を上げた。
「んー、どうしてそう思うの」
肯定とも否定とも取れないように返事は濁して呟く。
階段を下りる音が少し響く。
階段の昇降は素早くする。
これは鉄則。
「どうしてって、そんなの・・・・・・」
リビングの扉を開けると大きなテーブルにはお皿が2枚。
「「・・・・・・」」
雨とすれ違いで萌恵奈が来てしまったから、これは仕方のないことだったんだ。
そう納得して無言で片づけた。