その手に錠をはめるまで
それからあたしたちは、何事もなかったかのように学校に向かった。
あたしは若干眠い目をこすりながら、萌恵奈は楽しそうにあたしに何か話しかけながら。
萌恵奈が楽しそうなのは別にいいんだけど、ちょっとね、ほんのちょっと、黙ってくれたらなーなんて。
眠いんだよね。
雨も来たし、夜も遅かったし。
ボーっとしている頭だけど、任務のことは頭の中に入っている。
とは言っても、この任務は任務らしくない。
あたし自身のためにやっているようなものだから。
昴だってああいう風にいろいろと言い訳がましく学校に行けといった訳を話していたけど、それもこれもあたしのためだったんだ。
Rについての情報は限りなく少ないから、その情報収集を兼ねてあたしに任せてくれている。
もちろん、萌恵奈もいる。
萌恵奈はまだ、あたしみたいに闇の奥にははまっていない。