その手に錠をはめるまで
警察の端くれなんだから、人の闇を少しは垣間見ているけど、昴は本当に危険すぎる仕事は絶対にやらせない。
萌恵奈にはまだ防御能力が完璧に身についているわけじゃなくて、だからこそ、あたしのような危ない橋を渡らせたりはしない。
それに、実の娘と面倒を見てやっている女とは、全然わけが違う。
そういうものだ。
昴だってあたしに対等な優しさを見せているようだけど、それが全てなわけがない。
親友の娘、近所の女の子、娘の友達。
思い方はいくらでもある。
きっとそれらの全てとして昴はあたしを見ている。
全てが全て完璧に割り切れる人間なんていない。
だってそうでしょ。
あたしは少し面倒を見てもらっているだけの、ただの女なんだから。