その手に錠をはめるまで



「っっ、それだけは絶対にダメっ!!


・・・・・・あなたがこんなところに来たらどうなるか分かっているでしょう」



荒ぶった声のせいか、萌恵奈が驚いて固まった。


さすがに反省して、二言目はとても小さな声で囁く。


雨になら絶対に聞こえているっていう自信があるから。


大丈夫? と口パクで言ってきた萌恵奈に対して、あたしは苦笑いを返してうなずいた。



『それでも、俺はお前に何かあった時の方が怖い。


いろんな情報でお前の動向は見れているし、危機が迫ってきた時にはいつでも行く。


監視カメラの死角だって潜れるし、何より俺のはもちろん、お前の気配だって一緒に消すことができる。


だから大丈夫だ』



確かに雨は訓練を強要されていたせいか、素晴らしい身のこなしだ。



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