その手に錠をはめるまで
もしかしたら・・・・・・いや、もしかしなくてもルイ以上。
そんな人なのに、あたしがこれほどにまで恐れるのは、1人くらいは見破る人がいると思うから。
それができずとも、もしかするとって、最悪な考えと可能性が次々と思い浮かべられるから。
分かっている。
こんなのただの杞憂だって。
でも、それでも可能性を凌駕するようなことが起こるのも常だ。
「それでもダメよ。
あたしがあなたに先立たれたら何をするか分からない。
もしかしたら、アイツを探すのでさえやめてしまって、あなたの後を追うかもしれない」
『ふっ、つまり、俺が死ななければお前も死なない。
そういうことだろう?』
こくりとうなずいただけで返事はしなかったけど、きっと監視カメラから全てを見ているはず。
だからこれでいい。
にっこり笑ってあたしは通話を切った。