その手に錠をはめるまで
ぞくりと身震いをしながら、落ち着きがなくなった脈をぐっと押さえる。
眼がいいだけで、あれだけ気配を消していたあたしに気づけるものなのか。
もう目を合わさないリツをちらりと盗み見ながら、頭をフル回転で考える。
LOCKにいる時点で、というよりはそのLOCKの幹部であるのだから、強いとは分かっていたはずなのに、どこかなめていたようだ。
それに加え、LOCKの幹部はたぶん全員が何かしら特技ともいえる能力を持っている。
ルイだったら、気配を操る。
リツは、とにかく眼がいい。
ランは・・・・・・まだよくは分かっていない。
それらをうまく利用することができたのなら、あたしはRを見つけられるはずだ。
どんなことがあったって、Rだけは諦められないんだから、とにかくやるしかない。
「響姫、置いていくよ?
早く来て!」
萌恵奈の声に我に返ったあたしは、急いで萌恵奈の元に行ってにこりと笑った。