その手に錠をはめるまで
LOCKは洋館だ。
そこには毎夜毎夜、暇な男女が集う。
“舞踏会”と称したそれは、ただの集まりだ。
でも、最近女人禁制になったっていう噂があるけど・・・・・・。
「黒のパンツと黒のフード付きパーカー、黒のウィッグください」
何から何まで売っているショッピングモールで、あたしは必要なものを買いそろえていく。
急がなきゃ。
今日はチャンスなんだ。
黒好きのあたしにとって、この色はたいして苦痛ではない。
全部を買いそろえて、あたしは近くの公園のトイレで準備をした。
早く、早く行かないと。
もっと早く、早く。
時間だけがどんどん過ぎて行って、イライラが時間に比例して増していく。
やっと、やっとつかめた手がかりだ。
おぼろげな記憶を呼び起こして、霞がかったあの光景を思い出す。
あいにく男たちの顔はボヤけていて、思い出せない。