その手に錠をはめるまで



LOCKは洋館だ。


そこには毎夜毎夜、暇な男女が集う。


“舞踏会”と称したそれは、ただの集まりだ。


でも、最近女人禁制になったっていう噂があるけど・・・・・・。



「黒のパンツと黒のフード付きパーカー、黒のウィッグください」



何から何まで売っているショッピングモールで、あたしは必要なものを買いそろえていく。


急がなきゃ。


今日はチャンスなんだ。


黒好きのあたしにとって、この色はたいして苦痛ではない。


全部を買いそろえて、あたしは近くの公園のトイレで準備をした。


早く、早く行かないと。


もっと早く、早く。


時間だけがどんどん過ぎて行って、イライラが時間に比例して増していく。


やっと、やっとつかめた手がかりだ。


おぼろげな記憶を呼び起こして、霞がかったあの光景を思い出す。


あいにく男たちの顔はボヤけていて、思い出せない。



< 14 / 169 >

この作品をシェア

pagetop