その手に錠をはめるまで



「ねえ、何の話してるの?


あたしも混ぜてよ」



後ろから萌恵奈もついてくるもんだから、女子4人は顔を引きつらせている。



「なっ、中城(なかじょう)さんっ・・・・・・と、櫻井さんっ?」



あれ、あたしの名前覚えておいてくれていたんだ、ふーん。


てっきり出席日数ギリギリのあたしだから、忘れられているのかと思った。



「もしかして、あたしたちが聞いたら何かマズいの~?」



萌恵奈が雰囲気を和らげようとして言葉をかけるも、あまり話をしたことがないあたしがいるもんだから、大した効果が出ていない気がする。



「そ、そんなことないよ、」



それでもどこかたどたどしいのは、やっぱりあたしのせい?


どこに行っても馴染むことができないのは、今も昔も変わっていないのかもしれない。



「あたしたちも、今朝聞いた話なんだけどね・・・・・・」



論点を明確にできないのは彼女たちの頭が悪いから?


話し出した彼女たちの言葉を聞いていても、『えっと』とか『その』とか、そんな言葉ばかりを使っている。



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