その手に錠をはめるまで


全然ダメだ。


この学校は割と頭のいいところだと聞いていたのに、この程度の奴らしかいないようだ。


彼女たちの話はこういうものだった。


LOCKは暴走族なようなもだけど、厳密にいえばそうではなく、ただの集まりであること。


そのLOCKに、新しい幹部が1人抜けてしまった幹部と入れ替わるように入ってきたこと。


その新しい幹部がなかなか顔を出さないからか、リツが最近苛立っていること。


そのせいで昨日は暴れてしまったらしいのだけど、たった1人のことをそんなに気にかけるなんてリツらしくないこと。


まあ、こんなところかな。


だけど、それではリツが冷酷な人間のように思えてくる。


もちろん冷酷ではあるのだろうけど、それは女と仲間ではないと判断した者に対してだけだ。


レイとしてあたしがリツと会った時は、そんな冷酷さは見せたこともなかった。


なんだかんだ言って1番助けてくれるのはリツだと思うし、そういうことを考えたら違う気がする。



「ありがとう、教えてくれて。


・・・・・・ところで、あたしって普通に平凡な女子高生に見える?」



急にあたしがそう質問したからか、萌恵奈でさえも面食らった顔をしている。


急すぎたかな、タイミングをもうちょっと計ればよかったのかも。



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