その手に錠をはめるまで



「そうだね、危険なことはあまりない。


だから萌恵奈がとやかく言う必要はない」



きっぱりと切り捨てるように言ったあたしにたじろいてはいたけど、この件については何とか収まったと思う。


しかしながら、危険なことはあまりないというのは、あたしにとってのことだから、少なからず萌恵奈が思っている以上に危ないことになるかもしれない。


脳内花畑のお姫様には知られたくない、知られてはならないことだから。



「よーしっ、響姫、授業が終わったらパーッと遊びに行こうよ!」



「いいけど、萌恵奈のおごり・・・・・・」



急に普段のあたしたちに戻って、なんとなく落ち着いて。


それでいて萌恵奈はあたしと遊ぶと言い出す。


いつもの軽口が始まって、この日常をずっと続けていけたらと、がらでもないことを真剣に思った。



「えっ、ええーーー。


あたしそんなにお金持ってないよー?」



ダメ? とかわいらしく言ってみる。


さすがにやりすぎかと思いながらも、首を横にかしげて返事を待つ。



「うっ、響姫はなんて罪作りな女なんだッ。


あたしのなけなしの3000円をここぞとばかりに使うっていうのぉーーー!?」



「へえ、3000円。


おいしいもの、いっぱい食べようね」




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