その手に錠をはめるまで



「おはようございます」



担任の先生が入ってきて(いまだに名前を覚えていない)、担任の先生の顔をじーっと見る。


どこかで見たような、気のせいのような。


優しい見た目の男の先生で・・・・・・確かあたしの知り合いにもそんな感じの顔をした人がいたような。


でもその人は確か黒色の髪じゃなくて、薄茶色の髪だった気がする。


んーーー?


怪しい。


何が怪しいって、もう全部。


今までどうして気が付かなかったのか分からないけど、やっぱり怪しい。


絶対同一人物だ。



「それでは、今日も授業を頑張ってくださいね」



優しく言って出て行った担任は、きっとあたしの視線に気づいていたのだろう。


逃げ足が速かった気がする。


萌恵奈を見てみるも、何も気づいてなさそうに机に落書きをしている。


キャラも全然違ったような気がするけど、いやいや、それでも絶対彼だ。


萌恵奈はあたしと少し管轄が違うからあんまり会ったことないかもしれないけど・・・・・・、絶対あの人だから!


確かめてみるべく、朝のショートホームルーム終わったチャイムが鳴ってから、あたしは急いで教室を出た。



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